【夫の世話をやく快感】
私の夫はもともとお酒に強くありません。すぐ酔っぱらって、暴走して、寝ます。そして翌日はひどい二日酔い。でも後輩たちをびっくりさせたくて迎え酒で焼酎一気とかしてました。うえー思いだすだけで気持ち悪い。
(2007年12月に禁酒して、今ではこんなことはまずありませんが・・・)
一方私は酒に強く、だいぶ呑んでから酔っ払い、いっぱい笑って、いやな話をきいたら一緒に怒って、悲しい話をされたら一緒に泣いて、ひたすら呑みまくる。そして翌日は二日酔いで動けない。
ろくでもないカップルでした。
こんな風に呑むのは飲み会の日限定でしたが、夫が酔っぱらって寝てしまうとき、私はまだそれほど酔っていませんので、夫の世話をやきます。
具体的には、
・夫の服を着替えさせる(脱がせるだけのときも)
・布団(横になれる場所)まで運ぶ
・二日酔いに効く薬を飲ませる
・枕もとに携帯(アラーム)を置いておく
といったことです。友人たちから「junnaはいい彼女だねー」「こんないい奥さんいないよ」などと言われると、口では「こうしとかないと明日ろくでもないから」なんていいつつ、内心では「私がいないとこの人だめなのよ」なんて思ってました。
ザ・共依存!!
【共依存とは?】
飲酒問題が深刻になっていく原因のひとつに、家族がアルコール依存症者への世話やき行動(=イネーブリング)を続けているから、ということがあります。
世話焼き行動の一因となるのが共依存という心理なんですが、では共依存とはなんでしょう。
簡単にいうと、「他人に必要とされることで、自分の存在価値を確認する」という心理です。
これって別に悪いことではない気もします。勝間和代さんも子育てについて「何があっても自分を頼り愛してくれる子どもという存在は、自尊心を満たしてくれる」と言っています。子育ては、まさに子どもに必要とされることで自分の存在価値を確認できます。夫の世話をやくことも同じですよね?
【では、何が問題なのか。子育てと夫への世話焼き行動はどう違うのか】
最初は夫の飲酒をなんとかしたいという「愛」から出た行為だったとしても、世話を焼き続けるうちに、「愛」は自分が献身的な愛をささげているという自己陶酔に変質していきます。「私がいなくちゃだめなの」という、あれです。
こういった世話焼き行動は実は共依存なのにそれを否認する。そして客観的な影響に気づくことなく世話を焼き続けてしまう。そこが問題なんです。
つまり、「夫には私が必要」と思いこむことで自分を支えているうちに、いつの間にか、献身する自分への愛情=自己愛が勝るようになり、それが飲酒問題を悪化させてしまうのです。
子育てではこういうことはありませんね。そりゃ「子どもには私が必要」ですが、子育てする自分への愛情が子どもへの愛情に勝ることは、まずあり得ません。
【イネーブラーになるのは配偶者だけか】
イネーブリングは助力、イネーブラーは助力者と訳されます。知らずに飲酒を助けたり、飲酒する理由をつくる行為をしてしまう人のことです。夫の飲酒を理解し、支え、世話し、尻拭いするこういった行動は、飲酒者にとって大変好都合なことで、責任も軽くなりますから、ますます飲酒へのめりこんでしまうのです。
では、イネーブラーになるのは配偶者だけなのでしょうか。
そんなことはありません。私はかつて、父と一緒に暮らしていたときイネーブラーでした。まだ幼いときから、です。
・子ども
飲酒問題のせいでおこる家庭内不和を緩和しようと必死になったり、逃避しようと問題をほかにそらしたりします。アダルトチルドレンの問題はまた別の機会に書きますが、主に4つのタイプに分類されるといわれています(ファミリーヒーロー、スケープゴート、ロストチャイルド、クラウン)
・親兄弟
借金を肩代わりしたり、飲酒者の配偶者にもっとしっかり面倒をみなさいと言ったりします。これらの言動も飲酒問題を悪化させます
・嫁姑
飲酒の原因を他方のせいにして確執を繰り返すのも、問題飲酒を悪化させます
・職場の上司
部下の勤務態度が飲酒で荒れ始めても、仕事ができるうちは見て見ぬふりをしたり、配置替えだけで片付けようとします
・職場の同僚
仕事のミスや遅れをかばったり、飲酒につきあいます
・宗教に勧誘する人
問題飲酒を不信仰や祟りのせいにして、問題をすりかえます
というように、イネーブラーは配偶者にとどまらないのです。気をつけないと、あなたも知らず知らずのうちにイネーブラー(問題飲酒者の飲酒を助長している)になっているかもしれません。
【どんな人がイネーブラーになりやすいのか】
私がこれまで学んできたところによりますと、以下のタイプがイネーブラーになりやすいようです。
・掃除、洗濯に夢中になるところがある
・自分のしたいことを犠牲にしても、世話をやいてしまう
・自分が気に入らないと、夫を非難したり責めたり、ガミガミ言ってしまう
・小さなミス、小さな出来事も気になってしまう
・世間体を気にする
・他人の目を気にしすぎる
・お化粧やおしゃれなど、自分のことに関心を向けない
・世話をやいても報われなかったり、感謝されないと腹が立つ
・何かを始めるとき、周囲のひとの同意がないと自信が持てず不安である
・夫の言動や感情を気にしすぎる
どうですか? あなたはあてはまりますか?
アルコール依存症の夫を持つ、私の母なんかはどっぷり共依存でした。世間一般にいって、母は世間体を気にする方でもないし、結構クールです。ほどよく放任主義で、子どものことを信頼して育ててくれたと思っています。
そんな母ですが、やっぱりはじめは愛情から父を支えていたのが、支えている自分への愛(自己愛)が勝ってしまったんでしょうね。イネーブリングはとても複雑です。気がついたら、いつの間にかはまって、抜けられなくなっている沼みたいなものです。
【共依存に気づいたらどうすればいいか】
アルコール依存症の専門家たちは以下が効果的であると言います。
1.家族のための自助グループや、病院の家族プログラムに参加する
2.暴力から逃げる
3.自分の時間、自分の楽しみを持つ
1は、私もやりました。父が前回入院しているときです。父の飲酒問題について語り、他の方の話を聞きました。転院などの関係でほんの数回しか参加していませんが、「ああ、こんな思いをしているのは、私だけじゃないんだな」とは思えました。当時はまだ自分の優先順位がどうだとか時間管理がどうだとか考えていませんでしたので、過去のつらい経験を思い出してさらにつらくなったりもしましたが、それなりに有意義ではあったと思います。
2は、正論ですけど・・・というかんじです。それができれば苦労しないんですよね。その場は逃げてもその後はどうするか。戻ったときにもっとひどいことをされるんじゃないか(まるでいじめのようです)。
女性も男性も関係なく、お金を稼ぐ能力をみにつけて、いざというときは配偶者なしでも生きていける力を持っておくことが一番大切かもしれません。
3に関して、私の母はとても上手でした。子どもがみんな独立して父と二人になり、二人きりの会社だったのに父は朝から飲んだくれて働かない。酒瓶がゴロゴロ転がっているアパートで家事も仕事も全部自分でやって・・・普通だったらやさぐれて自暴自棄になりそうですが、母は少ないお金をやりくりして音楽を習ったり、学生時代の友だちと食事したりしていました。こういったことは、本当に大切です。
先日テレビで次男の障害を告白された松野明美さんも「マラソンのときは次男のことを考えない。というか、考えないようにしている」と言っていました。
ほかに、私が有効だと思うのは、問題飲酒者との会話方法です。コツがあります。
1.「私は」で話す
2.話すまえに10秒数える
1はどういうことかと言いますと、「あれしてよ!」「これはしないでよ!」ではなく「私はこうされると悲しい」というように、自分を主語にして話すということです。
このほうが、自分の感情がよく伝わるんです。
想像してみてください。配偶者や恋人から「怒鳴らないでよ!」といわれるのと、「私は怒鳴られると、つらくなる」といわれるの。どっちが心にずしっときますか。
2はつまり、問題飲酒者と常に一緒にいる人は感情的になる癖がついてしまっていることが多いので、何か言ったりやったりする前に一呼吸おいてよく考えましょうということです。酔っぱらいのペースにのせられてはいけません。
・・・
以上、長くなりましたが、共依存について書きました。最後まで読んでくださってありがとうございました。
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